息子の命を奪った、小児脳幹部グリオーマ という病気と闘病、
そして、、、信州こどもホスピスプロジェクト発足へ

信州こどもホスピスプロジェクト 代表 白鳥信博

令和2年9月1日、22:00、長男  白鳥 佑樹は、1年7ヶ月の闘病の末、悪性脳腫瘍 小児脳幹部グリオーマで19歳と2ヶ月の生涯を終えました。

1. 小児脳幹部グリオーマという病気

小児脳幹部グリオーマは国内で年間発症数が約50例という希少疾患で、病名が付くと必ず同時に余命半年から1年の宣告を受けます。
また、腫瘍の外科的切除は不可能で、放射線治療で一度は改善する可能性が高いが、それはその改善した時期を好きなことをして充実した時間にするための治療です。その後は必ず腫瘍は再増悪してしまいます。再増悪する時期をなるべく遅らせるために、副作用が出る抗ガン剤による化学治療を受けます。それでも、必ず、再増悪してしまい、再増悪してからは腫瘍の増大を食い止めることが出来なくなり、やがて死に至ります。
大変な苦痛を伴う、放射線治療や抗がん剤による化学療法、しかしそれらは治すための治療ではなく、あくまでも延命治療。治らないとわかっていながら、辛く厳しい治療に耐えなければなりません。
症状の進行に伴い、体の機能は徐々に奪われていき、終末期は寝たきりの状態になり、大半は呼吸が止まり死に至ります。

2. 息子の闘病

2019年1月~2月、頭痛・嘔吐・運動機能低下(歩行不良)・斜視といった症状が現れました。
2019年2月末日、悪性脳腫瘍 小児脳幹部グリオーマと診断され、余命半年から1年の宣告を受けました。同時に水頭症を併発しており、後2~3日発見が遅れたら命が危なかったそうです。
2019年3月、水頭症改善のための手術を受けました。手術後、県外の病院でセカンドオピニオンを受けるも、進展はなし。
2019年4月~5月、放射線治療を計30回受けました。
2019年6月中旬~7月初旬、東北大学病院で実施されている、治験に参加しました。
2019年7月下旬~2020年5月、東北大学病院に定期的に検査通院をしながら、抗がん剤服用による化学療法を実施しました。2020年5月末、脳腫瘍の再増悪が認められました。脳幹部の腫瘍が小脳や中脳まで増大しており、余命1ケ月と宣告を受けました。
その後、自宅で、訪問医訪問看護のもと、家族で看病していましたが、2020年(令和2年)9月1日、22:00、長男  白鳥 佑樹は、1年7ヶ月の闘病の末、悪性脳腫瘍 小児脳幹部グリオーマで、大好きな自宅で家族に見守られながら、19歳と2ヶ月の生涯を終えました。

17歳・18歳・19歳とキラキラした未来を夢見るべき時を、病との闘いという辛く悲しい時を過ごすことになってしまいましたが、息子は、勇気を持って戦い抜き、誰よりも力強く駆け抜けました。

3. 信州こどもホスピス実現プロジェクト 発足へ

息子もそうでしたが、、、闘病中の子供は、例えどんなに苦しくても、辛くても、悲しくても、楽しいことをしたり、勉強したり、新しい発見をして成長し続けます。
残された時間に限りがあり大人になれないとしても、将来を夢見て、自分の将来の為に出来る限りのことをします、しようとします。
闘病中で苦境に立たされているこども達の成長したい思いや、将来を夢見て何かをしようとする思いを、我々大人は叶えてあげなくてはなりません。
これらは決して難しいことではなく、健康なこども達の何気ない日常なのです。
闘病中のこども達は、入院や治療により、何気ない日常が、辛い非日常になっていくのです。

闘病中の非日常から、環境を変えて、当たり前の日常を家族と一緒に楽しみながら、時には新しい発見をしながら穏やかな時間を過ごしてもらう施設、これが、こどもホスピス です。

また、付きっきりで我が子を看病している、お母さんやお父さんは心身ともに疲弊してきて、深い孤独の闇の中へと追い込まれていきます。
闘病中のこども達は皆優しいので、お母さんお父さんが辛そうにしているのは、自分のせいだ、と思ってしまい辛くても心配を掛けまいとして我慢してしまう、結果的にお母さんお父さんや闘病中のこども達みながドンドン疲弊してくる、悪循環に陥ります。
闘病中のこども達にお父さんお母さんが付きっきりの間、その兄弟姉妹は寂しいおもいをします。

闘病中のこども達の家族全員が、看護師が常駐している環境で家族一緒に息抜きをして、心身をリフレッシュしてもらい、また、学習支援の下で闘病中のこども達や兄弟姉妹が勉強できる時間や空間で勉強することで将来を夢見ることが出来て成長できる施設、これも、こどもホスピス です。

終末期には、入院して最期を迎えるか、自宅で訪問医訪問看護を受けながら家族の看病のもと最期を迎えるか選択を迫られます。
そこに、こどもホスピスという存在があれば、選択肢が増えて、いくらかでも気が楽になるのではないでしょうか?

現在、独立型(院外にある)こどもホスピスは、国内で2施設が稼働していますが、わたしは、少なくても、各都道府県に1施設は、独立型こどもホスピスが必要だと考えます。

将来、当たり前の様にこどもホスピスが存在し、より多くの終末期のこども達が、家族一緒に日常を過ごすことが出来る世の中になるように、われわれは活動していきます。

信州こどもホスピスプロジェクト 規約