1. 小児ホスピス ヘレン・ハウスの誕生
1982年にイギリスのオックスフォードにオープンした世界で最初の小児ホスピスです。
教会のシスターをしていたフランシス・ドミニカさんが、知り合いの親御さんから重い病気を抱えた(私の長男と同じ脳腫瘍)ヘレンという2歳の女の子を預かったことから、ヘレン・ハウスの歴史は始まりました。
2. 青少年向け小児ホスピス ダグラスハウスの誕生
医療の進歩に伴い、過去には幼くして亡くなっていた病気の子どもたちが、もう少し長く生きることができるようになってきました。
また、成長してから発病するこども達もいます。
ただし、思春期を超えてくると小児を対象としているヘレン・ハウスの施設では合わなくなってくる部分がありました。
一方で、従来の大人向けのホスピスは終末期の患者さん(主に高齢者)が最期の時を過ごす場所という色が強く、ヤングアダルト(AYA世代)やその両親のニーズには合っていませんでした。
ダグラス・ハウスは、ヘレン・ハウスの理念を継承し規模を拡大する形で、もう少し上の年齢層となるヤングアダルト(16歳以上)を対象として、ヘレン・ハウスに隣接する形で2004年にオープンしました。
ホスピスという言葉の語源は、ラテン語のhospesに由来します。hospesとは「見知らぬ人、客人(ゲスト)」 を指します。
この言葉から派生した単語・Hospitality(丁重にもてなすこと)から、ホスピスは「丁重に手厚くもてなす」施設であると言えます。
3. 信州こどもホスピスプロジェクト
2020年9月に悪性脳腫瘍 小児脳幹部グリオーマで亡くなった長男は、終末期は身体の自由が効かなくなってしまいました。
その看護や介護経験から、信州こどもホスピスプロジェクトの発足を思い立ちました。
闘病中のこども達にとっては、看護師による医療的なケアを受けながら、まるで我が家で過ごしているかのような空間で、例えば芸術的なアプローチから新しい発見をしたり刺激を受けたり、勉強したり遊んだりして、好きな事をして、成長し続けながら、子どもらしい自由なひとときを過ごせる場所、両親にとっては、付きっきりの医療ケアの負担から離れた穏やかな休息の時間を持てる場所であり、きょうだい児にとっては、普段、闘病中のきょうだいに目が行きがちな為、寂しい思いをしていますが、時間がゆっくり流れる穏やかな空間で、家族一緒に過ごして好きな事をして楽しむことができる場所、を目指しています。